准看護師の資格が廃止されるって本当?

time 2016/11/02

准看護師の資格が廃止されるって本当?

准看護師の資格が廃止されるって本当?

准看護師の廃止問題について、耳にしたことがある方もいるでしょう。
准看護師は正看護師と同じような仕事をしていて、看護スキルも正看護師に引けをとりません。正看護師よりもずっと頼りになる准看護師はたくさんいます。
しかし、准看護師というだけで給料は少ないし、キャリアアップの道も閉ざされてるので、日々悔しい思いをしている方も多いでしょう。そのうえ、准看護師が廃止になるかもしれないとなったら、悔しいだけでは済みません。

ただ、准看護師の廃止については、現状では何も決まっていません。また、資格自体が廃止されるのではなく、准看護師の養成だけが廃止になる可能性が高いため、准看護師の資格がむだになるわけではありません。
とはいえ、まだ何も決まっていない状態なので、将来的に准看護師の資格が廃止される可能性はゼロではありません。ここでは、准看護師の資格について学んでいきます。

厚生労働省と日本看護協会が准看護師の廃止を推進している

准看護師の養成を廃止にして、看護職は正看護師に一本化されるべきだという立場をとっているのは、厚生労働省と日本看護協会です。それに対して、日本医師会は准看護師の資格と養成を維持すべきという基本姿勢を打ち出して、“准看護師の廃止”に反対しています。
関係団体の利害が一致せず、妥協ポイントも見つけられないため、准看護師の廃止問題は、廃止方向にも存続方向にも動かず、中途半端な状態が続いています。

准看護師は戦後の深刻な看護師不足に対応するため、短期間で必要最低限の看護知識・看護技術を身につけて臨床現場で働けるようにするための暫定的な措置として資格が作られました。
しかし、現代では戦後間もないころの深刻な看護師不足は解消され、准看護師という暫定的な措置は必要なくなっていきました。それを受けて、1996年に厚生労働省は「21世紀初頭の早い段階を目処に、看護婦養成制度の統合に努める」と提言しています。
また、日本看護協会は看護師の専門性が高まっていることや看護師の地位向上などを理由に、看護師養成を一本化して准看護師養成を停止するための活動を行っています。

既に神奈川県では准看護師の育成を停止している

徐々にではありますが、准看護師廃止へ動きつつあるのは確かなことです。
准看護師の廃止は、1996年に厚生労働省が看護師養成を一本化することを提言してから、約20年も具体的なことは決まらずに経過しています。
しかし、2004年には経験10年以上の准看護師が正看護師になるための2年間の通信制の移行教育が開始になりました。なお、2015年12月には経験10年から7年に短縮されることが決定しました。
神奈川県では2013年4月の入学を最後に、それ以降の准看護師養成を停止しています。このように、少しずつ准看護師の廃止は進んでいるのです。

准看護師の廃止が推進されている3つの理由

准看護師は正看護師と異なり、仕事内容やお給料、将来のキャリア(役職)が制限されてしまいます。正看護師と変わらず働いている准看護師ですが、比較してみたときにはやはりでメリットもあります。そのため、廃止が推進されている3つの理由は下記です。

1.資格で定められた業務内容と実態の違い

履修時間や実習時間は当然違いますが、正看護師と准看護師では、本来の教育の目的が異なります。
正看護師養成では、患者の全身をアセスメントして、自律的に判断し先を予測する能力を身につけることが求められます。
これに対し准看護師養成は「医師または看護師の下で安全に実施できる能力を養う」という、指示を受けて働くことを前提とした教育です。自律的判断は教育目的にふくまれていません。

教育内容が異なるにもかかわらず、准看護師は法律上では、指示の有無以外は看護師とまったく同じことができてしまいます。養成所で学んでいないことを現場で求められるので、准看護師は各自の努力で学ぶしかなく、当人にとっても大変な負担になっています。
准看護師も誠実に働いているからこそ「この仕事はどこまでやっていいのか」という立場の曖昧さに葛藤がある方も少なくはありません。

2.医療技術の進歩に伴って、高度な看護技術が求められている

大病院や都市部の総合病院が正看護師を多く採用するのは、やはり高度な医療技術に触れることや、救急時などに複雑のやりとりなどをする必要があるため、「潜在力」として勉強を多くしている正看護師を採用することにあります。
実際に業務をしてみるとそれほどの違いはないでしょうし、実際に優秀な准看護師の方も多くいるのは確かですが、同じレベルであれば、より多く学んでいる正看護師を採用するということです。診療報酬の「看護加算」でも、正看護師を雇った方が多くの儲けが出るということもあるでしょう。

3.少子高齢化の進行によって、介護現場の看護師が不足している

看護師は、介護福祉士にはできない医療行為ができます。そのため少子高齢化が深刻化してるいま、特に高齢者施設などで需要の拡大が見込まれています。
経験を積んだ准看護師は、正看護師以上のスキルや知識を持ち合わせてる人も多いことは確かです。そのため、幅広い知識やスキルが要求される訪問介護の世界で、准看護師でもやっていけると思うのは当然のことでしょう。

しかし、訪問介護ステーションの求人は、正看護師ばかりなのです。准看護師は絶対に訪問看護師になれないというわけではありませんが、求人はほとんどないのが現状です。
なぜなら、准看護師の場合、正看護師と同じ業務を行ったとしても、訪問看護ステーションが得られる診療報酬は少なくなってしまうからです。

介護保険利用での訪問だと、准看護師が訪問すると正看護師の訪問に比べて、9割しか訪問の給付を受けられないのです。
また、訪問看護は1人で患者さん宅を訪問し、看護師としての力量が問われる仕事ですから、いくら経験があっても国家資格である正看護師のほうが適しているとする訪問看護ステーションが多いのが実情です。

一方で准看護師の廃止に反対する声も多い

反対しているのは、日本医師会です。日本医師会は「准看護師養成と准看護師制度の維持」を主張しています。その理由は主に以下の二点です。

慢性的な看護師不足が続いているため

准看護師の資格がつくられた戦後ほどではないものの、現在でも看護師不足は続いています。看護師の資格をもった人は大病院で働くことが多く、医師が経営する個人病院やクリニックでは看護師不足が深刻で准看護師が主な戦力となっています。
医療業界の人手不足は深刻なうえに慢性化しており、一朝一夕の対策ではとてもではありませんが問題解消ができません。さらに今後高齢化がますます進んでいくことが確実な日本においては、看護師不足の問題が解決するのは非常に困難だと考えられています。

中小の病院やクリニックでは正看護師の雇用が難しいため

大病院に看護師を独占され、自力で看護師の確保が難しい診療所や中小病院にとっては、現場の即戦力であるうえに正看護師よりも給与水準が低めの准看護師は、なくてはならない存在です。それだけに、准看護師制度の廃止は日本医師会の医師にとっては、いわば死活問題ともいえるのです。
前述したように、厚生労働省と日本看護協会は准看護師廃止に賛成していて、1990年代から准看護師廃止の方向で動いていますが、日本医師会の強硬な反対があるため、なかなか廃止が決まらず宙ぶらりんな状態が続いているのが現状です。

正看護師を目指す准看護師が増えている

なかには准看護師の免許をとった後、正看護師の学校に進学する機会を逃したまま、看護の仕事に従事し、正看護師の資格の必要性を感じている人もたくさんいます。
そのような人のために、2004年より、10年以上の臨床医経験をもつ准看護師に対し、2年間の通信教育で看護師国家試験資格が得られる「看護専修学校」が設けられました。

これにより、長年医療機関で働き、経験と技術をもちながらも、給与面などで十分な待遇を受けることのできなかった准看護師に、スキルアップ、キャリアアップの機会が与えられました。
参考までに准看護師数は、2001年約42万人→2010年約39万人と減少しています。
一方で正看護師は、2001年約111万人→2010年約140万人と増加しており、前看護師数の約77%を占めます。
この数字からも、准看護師の現状が見てとれるかと思います。

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